調査地の特徴

調査地の特徴

 本プロジェクトの具体的な調査地として、マレーシア、サラワク州ビントゥル地域のクムナKemena川流域およびタタウTatau川流域を選択しました。
 これらの流域では、サラワク各地で見られる天然林や択伐林、二次林、焼畑地、ゴム園、コショウ畑に加えて、大規模なオイルパーム・プランテーションやアカシア植林地もあり、また、小農によるオイルパーム植栽も盛んに行われつつあります。
 このように多様な植生を流域単位で見てとることができる調査地は、ランドスケープ・エコロジーの観点から見て、非常に興味深いものです。同時に、このような混合ランドスケープは、地域住民に多様な土地利用と生業選択の可能性を提供しています。
 その一方で、これらの流域、特にクムナ川流域は、複合エスノスケープとでも呼ぶにふさわしいほど、数多くの民族集団を擁する地域であり、これら集団の共生・共住・通婚も進行しています。サラワクの社会においては民族集団ごとの構成よりも、水系単位の社会的ネットワークの方が重視されるべきだという主張がありますが、現実問題として、こうした点に注目した研究は少ないのが実情です。本調査地は、まさに民族間の垣根を越えたネットワークを形成している地域であり、新たな流域社会論を提示するにも適した場と言うことが可能です。
 このような調査地において、現場からのデータの積み上げを重視した文理融合型のフィールド研究を行い、さらには、そこから生み出される森林産物・商品・労働力・資本・情報などが、いかなる形で移動し、グローバル・ネットワークと結びつくのかを分析することで、新しい文明生態論の創造を目指します。
Kemena/Tatau

本プロジェクトの調査地域を地図上で示しております。

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